仕事が離婚の原因?家庭を顧みない配偶者と別れる手順や準備を弁護士が解説

最終更新日: 2023年07月04日

  • 配偶者が毎日仕事で忙しく、家族や家庭に関心を示さない
  • 家庭を顧みない配偶者と離婚したい
  • 離婚するときの手順や準備を知りたい

配偶者が仕事を優先するあまり、家庭を顧みない行動に不満を抱く方もいます。どちらか一方に家事・育児負担が偏ると、ストレスが溜まり、離婚を考えてしまう方もいるでしょう。

また、相手が仕事で忙しいという理由だけで離婚はできるのか疑問に思うこともあるかもしれません。家庭を顧みない配偶者と離婚するときには、事前の準備が大切です。

そこで今回は、離婚問題の解決実績を持つ専門弁護士が、仕事で家庭を顧みない配偶者と離婚するときの手順や準備について詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 自分一人で育児や家事負担をほとんど担う状態が続けば、精神的・肉体的にも疲弊してしまう
  • 家庭を顧みないことを理由にした離婚は、相手も合意すればできる。できない場合は調停・裁判へと発展する可能性もある
  • 家庭を顧みないことを理由に離婚を考えているなら、「夫婦で話し合う」「モラハラや不倫の証拠を取っておく」「離婚後の生活設計を考える」「請求できるお金について検討する」の4つが大切

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

仕事ばかりで家庭を顧みない配偶者との離婚

家庭よりも仕事を優先してしまう人の中には、結婚後、仕事が多忙であったり自分のほうが多く稼いでいたりすることを理由に、家事や育児にかかわらない方も少なくありません。

夫婦どちらかが家事・育児を一切しない状況では、他方に負担がかかってしまいます。自分一人で育児や家事負担をほとんど担う状態が続けば、精神的・肉体的にも疲弊してしまいます。

状況を改善するために相手に自分がつらいことを伝えても、仕事を理由に全く取り合ってもらえないことも珍しくありません。いくら努力しても報われない気がして、離婚を決意することもあるでしょう。

配偶者が仕事で忙しいことを理由に離婚できる?

仕事を懸命にやることは、決して悪いことではありません。そのため、相手が仕事で多忙なことを理由に離婚はできるのか気になる方も多いでしょう。ここでは、配偶者が仕事で忙しいことを理由に離婚できるのかを解説します。

夫婦で離婚に合意していれば協議離婚が可能

夫婦の双方が合意すれば、協議離婚による離婚が可能です。協議離婚で離婚するときには、離婚理由は問われません。どちらか一方が離婚を切り出し相手が合意する場合、離婚届けを役所に提出し、受理されれば離婚は成立します。

ただし、どちらかが離婚に合意しない場合や、離婚自体には合意していても離婚条件に折り合わない場合は、協議離婚ではなく、他の方法で離婚を進めなければなりません。

裁判離婚では法定離婚事由が必要

離婚で双方の合意が得られなかった場合は、最終的に裁判で離婚問題の解決を図ります。裁判離婚で離婚が成立するためには、法定離婚事由がなければなりません。

法定離婚事由は、民法770条に以下の5つの項目があると定められており、いずれかに該当する必要があります。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

出典:民法 | e-GOV法令検索

離婚が認められるケース

離婚が認められるケースとしては、以下のようなことが考えられます。

  • 正当な理由もなく自宅に帰らない
  • 生活費を渡さない
  • 別の異性と不貞行為を行っている
  • 自宅で暴力やモラハラを行う
  • 長期間別居している
  • 破綻した夫婦関係を修復する意思がない

仕事が忙しいだけでなく上記に該当する行動をしている、もしくは仕事が原因で上記に該当する行動をしているなら、法定離婚事由があるとして、裁判離婚で離婚できる可能性があるでしょう。

離婚が認められないケース

一方、以下のようなケースでは、離婚が認められない可能性があります。

  • 仕事で自宅に帰宅する時間が遅くても生活費を渡してくれる
  • 日常生活において会話を行っている
  • 不貞行為や暴力・モラハラなどの問題になる行動をしていない
  • 時間が空いたときは家族で出かけている

このように配偶者の行動に問題がなければ、離婚は認められにくいでしょう。

末路は離婚?仕事が忙しいと言う人の心理は?

配偶者が仕事ばかりに没頭している理由は何なのでしょうか。ここでは、仕事が忙しいと言う人の心理について、下記の4つを解説します。

  • 家庭より仕事が好き
  • 仕事は家族のためだと考えている
  • 家に居場所がない
  • 不倫している

家庭より仕事が好き

仕事を家庭より優先する人の中には、仕事が好きで、のめり込んでいるというケースが往々にしてあります。仕事で成果を上げたり、高評価を受けたりすることに喜びを感じ、家庭や家事に関心を示さないといったことも少なくありません。

仕事で忙しい状態を、辛いと思うどころか楽しんでいるといったケースでは、家庭を疎かにしてしまうことがあるでしょう。

仕事は家族のためだと考えている

多忙な仕事でも、家族の幸せのためだと考えている方は、懸命に働いてしまう傾向があります。自分が苦労してお金を稼ぐことが、子どものためや、将来の自分のためだと思っているケースです。

日常生活を送るためには、ある程度のお金が必要であることは確かです。自分が多くのお金を稼げば稼ぐほど家族が笑顔になると考えて、仕事にばかり精を出してしまうのでしょう。

家に居場所がない

仕事が忙しい方の中には、家庭に対して苦手意識があり、意図的に帰宅する時間を遅くしている方がいます。このケースでは、早く帰ると家族が嫌な態度を取る、家族とコミュニケーションを取る方法がわからないなどの状況が当てはまります。

「自分の居場所は自宅にない」と感じて、つい職場に行ってしまう、仕事をしてしまうといったケースもあるでしょう。

不倫している

仕事で忙しいという言い訳をして、不倫しているケースもあります。残業や出張が頻繁にある場合は、不倫を疑ってもよいかもしれません。

たとえば、配偶者以外の異性と男女関係にある場合、配偶者に気づかれないように「仕事で出張がある」と言い訳にしていることも考えられます。あまりにも頻繁に残業や出張がある場合や、疑わしい行動がある場合は、調査をして実態を掴むことをおすすめします。

仕事が忙しい配偶者との離婚を考えたときにすべきこと

離婚すると決めたときには、準備や離婚後のことを考えておかなければなりません。ここでは、仕事が忙しい配偶者との離婚を考えたときにすべきことを、下記の4つ解説します。

  • 夫婦で話し合う
  • モラハラや不倫の証拠を取っておく
  • 離婚後の生活設計を考える
  • 請求できるお金について検討する

夫婦で話し合う

離婚を考えたときには、まず夫婦で話し合ってみましょう。夫婦で問題点について話し合い、現状の不満や要望を伝えることで、問題が解決方向に向かう可能性も考えられます。

たとえば、解決できる問題である場合、夫婦で冷静に話し合いながら具体的な対策を検討することが可能です。さらに、双方が歩み寄る意思があれば、家族関係が良好に向かう可能性もあるでしょう。

モラハラや不倫の証拠を取っておく

相手にモラハラや不倫行為が疑われる場合は、離婚を踏まえて証拠を取っておくことも大切です。裁判離婚になった場合、有効な証拠があれば、離婚を認めてもらいやすくなります。

裁判にならなくても、証拠があれば慰謝料の請求が認められやすい可能性があります。たとえば、日常的にモラハラを受けていて、心療内科でうつ病だと診断された場合は、診断書を作成してもらいましょう。

そして、被害を受けたときの音声や動画を撮っておくことも重要です。有利な条件で離婚するためにも、一つでも多くの証拠を集めておきましょう。

離婚後の生活設計を考える

離婚を考えたときには、離婚後の生活設計を想定しておくことも大切です。住まいや仕事を確保し、生活の基盤を作っておくことをおすすめします。

たとえば、専業主婦だった場合、離婚後の生活費を工面するためにも仕事を見つけておく必要があります。さらに、引っ越す場合は、安心して生活できる場所を探すことも重要です。

請求できるお金について検討する

離婚を考えたときには、慰謝料や養育費など、配偶者に請求できるお金を検討しておくことも大切です。離婚するときには、財産分与や養育費をはじめとし、いくつかの金銭を請求できる可能性があります。

たとえば、子どもがいて離婚したあとも、自分が子どもを育てる場合、配偶者からは養育費を受け取れることが多いでしょう。配偶者に請求できる金銭を、事前に把握したうえで、弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ

今回は、離婚問題の解決実績を持つ専門弁護士が、仕事で家庭を顧みない配偶者と離婚するときの手順や準備について詳しく解説しました。

仕事にのめり込む方の理由としては、仕事が好きだったり、自宅に帰りたくなかったりなどが挙げられます。理由次第では離婚を回避できる可能性もあるため、夫婦で話し合いの機会を作りましょう。

どうしても話し合いがまとまらずに離婚に至る場合は、離婚問題に詳しい弁護士に相談し、手順や準備するべきことを教えてもらうことをおすすめします。

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