不動産の立ち退き問題の弁護士費用を専門弁護士が解説!
最終更新日: 2023年11月28日
- 不動産の立ち退き問題を弁護士に依頼した場合の弁護士費用はどのくらい必要なのか
- 弁護士費用を払ってでも弁護士に立ち退き問題を依頼するメリットはあるのか
- 費用対効果の高い立ち退き対応をしてくれる弁護士の選び方を知りたい
賃貸物件の大家・入居者に降りかかる問題としてあるのが立ち退き問題です。
例えば大家の立場から入居者に立ち退きを伝える際に、「建物の老朽化が進んでいるから取り壊すことにした」のような理由1つでは納得してもらえないケースも多く、中には高額な立ち退き料を請求される可能性もあります。
一方、入居者側の立場で言えば、急な立ち退きを要求され一方的に不利な条件で退去せざるを得ない状況に追い込まれることも考えられます。
このような事態を避けるためにおすすめなのが、弁護士に不動産の立ち退きに関する問題を依頼することです。当事者での交渉が難しくなることも多い立ち退き問題では、専門の知見を持った弁護士に交渉をしてもらうことで円滑な解決を期待できます。
今回は、立ち退き問題への対応に必要な弁護士費用を理解するための基礎知識、弁護士費用を支払ってでも立ち退き問題を依頼するメリット・デメリット、費用対効果の高い弁護士の選び方を解説します。
立ち退きに必要な弁護士費用を理解するための基礎知識
立ち退きに必要な弁護士費用を理解するためにはまず、弁護士に支払いが必要な費用の仕組みを知る必要があります。初めて弁護士に依頼をする場合、弁護士費用はどのくらい支払わなければならないのか、など不安もあるでしょう。ここでは以下の視点から解説します。
- 弁護士費用の内訳
- 成功報酬金と立ち退き料の関係
弁護士費用の内訳を解説
弁護士費用の内訳は大きく分けて以下の3つです。
- 相談料
- 着手金
- 成功報酬金
それでは、1つずつ解説します。
相談料
弁護士費用の内訳の1つ目は、相談料です。
相談料とは、依頼者が弁護士に法律相談をするにあたり支払う費用です。困りごとを相談することで、弁護士から法律を使った解決方法やアドバイスをしてもらうことができます。
日本弁護士連合会が定めた旧基準である、30分5,000円から10,000円で設定しているところが多い傾向にあります。弁護士法改正に伴い旧基準はすでに廃止となっていますが、合理的であることから、今でも多くの弁護士事務所が旧基準を採用しています。
依頼をしたあとは、同じ案件であれば相談料はかからない法律事務所がほとんどですが、依頼した案件と別件で相談する場合はあらたに相談料が請求されるため、あらかじめ確認しておくことが大切です。
最近では、相談料を無料にすることで敷居が高く感じがちな弁護士事務所に少しでも気軽に来てもらえるようにしている法律事務所もあります。無料相談は弁護士を見極める機会を提供する場にもなっているとも言えます。
着手金
弁護士費用の内訳の2つ目は、着手金です。
着手金とは、弁護士が依頼された案件に着手するにあたり支払う費用です。弁護士に仕事を依頼した時に支払います。依頼当日に現金で支払う場合もありますが、多くの場合は委任契約後に指定された口座に振り込むことになります。支払方法は分割での支払いも相談できる法律事務所があります。
成功報酬金の手付金や内金と間違えられることもありますが、そのような性質はありません。事件が未解決に終わったり途中で弁護士を解任したり、依頼者側の理由で委任契約が終了するようなことがあっても返還されない費用です。
着手金の金額は、一律幾らと決まっている法律事務所や、依頼者の経済的利益の見込みの一定割合として計算する法律事務所があります。
成功報酬金
弁護士費用の内訳の3つ目は、成功報酬金です。
成功報酬金とは、弁護士に依頼した仕事が一部またはすべて成功した場合に依頼者が支払う費用です。
依頼者が得られた経済的利益の一定の%としている法律事務所が多いです。案件が終了した時点で委任契約書の定めに従って計算が行われます。
支払方法に関しては、経済的利益が代理人である弁護士の口座に入金される場合はその中から相殺する事務所が多いです。
立ち退き料の請求の場合、例えば、請求されている立ち退き料から実際に支払う立ち退き料に減額があるような時には、現金という形で経済的利益は得られません。このような時は、減額された金額の一定の%が依頼者に請求され、一括もしくは分割で弁護士事務所に支払うことになります。
成功報酬金と立ち退き料の関係
成功報酬金と立ち退き料の関係を以下の2点から解説します。
- 立ち退き料の相場とは
- 着手金なしの成功報酬制の事務所もある
それでは1つずつ解説します。
立ち退き料の相場とは
弁護士に支払う成功報酬金は、得られた立ち退き料によって変動しますから、弁護士費用を計算するにあたっては、立ち退き料の相場を把握しておく必要があります。
立ち退き料の金額は、法律で決まっているわけではなく、賃貸人が更新拒絶をする際の正当事由の有無によって大きく増減します。また、賃貸人の経済力も大きく影響してくるでしょう。ただ、多くの事案において最低限補償される可能性の高い費用として以下の費用があります。単身用居住物件での立ち退き料は150万円前後が相場といえます。
- 新たに賃貸借契約を締結するための契約金、礼金、その他諸費用
- 引越し代
- 現行家賃と新家賃との差額(1年分~3年分)
着手金なしの成功報酬制の事務所もある
最近では、着手金なしで立ち退き料が発生した場合のみ成功報酬の請求を行なう法律事務所もあります。この場合のメリットとしては、初期費用がほとんど発生せずに速やかに弁護士に依頼ができる点です。
特に、賃借人である入居者が突然の立ち退き請求に合った場合の相談先としてはこのような法律事務所は相談しやすいでしょう。
立ち退きを弁護士費用を払ってでも依頼するメリットとデメリット
立ち退きを弁護士費用を払ってでも依頼するメリットは以下の3つです。
- 不安からの解放
- 時間を無駄にしない
- 経験と専門性に基づいた高い交渉力
それでは1つずつ解説します。
不安からの解放
立ち退きを弁護士費用を払ってでも依頼するメリットの1つ目は、不安からの解放です。
立ち退きの交渉は当事者本人でも可能です。しかし例えば、交渉する側の賃貸人が自身の正当性ばかりを主張して結果的に賃借人を感情的にさせてしまった場合、居座られてしまったり、必要以上の立ち退き料を請求される可能性があります。
他方賃借人としても、本来得られたであろう金額より低い金額で同意してしまい退去しなければならなくなる可能性があります。
弁護士に任せた場合、より良い解決に至る可能性が高まります。
また、弁護士は代理人として相手と交渉や裁判を行ってくれますので、時間的拘束や心理的な負担、不安を軽くしてくれます。
時間を無駄にしない
立ち退きを弁護士費用を払ってでも依頼するメリットの2つ目は、時間を無駄にしないことです。
賃貸人と賃借人の当事者同士が直接交渉をすることで、お互い話が平行線をたどり解決までに必要以上の時間を要する場合もあります。
専門的な知見があればスムーズに進むはずの点で不必要に時間を費やしてしまうこともあるでしょうし、本来は避けられたはず裁判に突入うしてしまう可能性もあります。できる限り短い期間での解決を望むのであれば弁護士に依頼することがおすすめです。
経験と専門性に基づいた高い交渉力
立ち退きを弁護士費用を払ってでも依頼するメリットの3つ目は、経験と専門性に基づいた高い交渉力です。
弁護士は立ち退き問題について専門的知見をもっていますし、多数の交渉や裁判などを通じて交渉の進め方について高いスキルを持っています。専門の弁護士に依頼をすれば、かかってくる弁護士費用以上の経済的なメリットをもたらしてくれるでしょう。
立ち退きに弁護士費用を支払うデメリット
立ち退き問題について弁護士費用を支払うことがデメリットになるケースというのは、立退料などの経済的利益が弁護士費用を下回って赤字になるケースでしょう。ただ、専門の弁護士によればそのような結果になる可能性は低いですし、着手金無料などの報酬体系によれば赤字になることも避けられます。
立ち退き問題について弁護士に依頼をする際にありうるデメリットは、この点に尽きるでしょうから、無料相談などで解決の見通しや経済的メリットについて話を聞いて、弁護士費用以上のメリットがあることを確認するようにしましょう。
立ち退き対応の費用対効果を高めるための弁護士の選び方
立ち退き対応の費用対効果を高める弁護士の選び方には、以下の3つのポイントが挙げられます。
- 初回相談で弁護士の方針を確認する
- 対応が柔軟な事務所を選ぶ
- 不動産の立ち退きに精通している事務所を選ぶ
それでは、1つずつ解説します。
初回相談で弁護士の方針を確認する
立ち退き対応の費用対効果を高める弁護士の選び方のポイントの1つ目は、初回相談で弁護士の方針を確認することです。
初回相談を有効に活用することで、「この弁護士はどのような方針で解決していくのだろうか」ということを依頼する前に時間をかけて確認することができます。
相談料がかかると言うとできるだけ相談を手短に済ませようとしてしまいがちですが、本来大切に考えなければならない自身が納得のできる解決へ導いてくれるのかという目的を達成しないままになる恐れもあります。
そうならないためにも、初回相談では時間を有効に使って、弁護士との認識合わせを確実に行なうことが大切です。また、当事務所も含めて初回相談料を無料にしている法律事務所もありますので、そのような法律事務所であれば相談料を気にする必要はありません。
対応が柔軟な事務所を選ぶ
立ち退き対応の費用対効果を高める弁護士の選び方のポイントの2つ目は、対応が柔軟な事務所を選ぶことです。
相談をするにあたっての面談を来所だけの対応ではなく、電話やビデオ通話を使って行っている事務所であれば、時間や場所にとらわれず事務所を選ぶことが可能です。
また、不動産の立ち退きに関する相談で重要なのは立ち退き料の金額だけではありません。できるだけ不安や精神的なストレスを軽減したい場合は、解決のスピードを早めることも大切です。
お客様が何を一番重要視しているのかを汲み取り、望ましい方向で解決してくれる柔軟な対応のできる弁護士事務所を選ぶことがおすすめです。
不動産の立ち退きに精通している事務所を選ぶ
立ち退き対応の費用対効果を高める弁護士の選び方のポイントの3つ目は、不動産の立ち退きに精通している事務所を選ぶことです。
医師に専門科目があるのと同じように弁護士にもやはり専門分野があることが多く、依頼する際には不動産の立ち退きに精通している弁護士に依頼することが重要です。
選ぶ際には、ホームページに取扱分野として不動産の立ち退きを挙げ、解決実績の掲載があったり、ブログやコラムなどを書くことでホームページを見る人にわかりやすく情報提供をしていることを確認するなど、相談前に調べておくと良いでしょう。
まとめ
この記事では、立ち退きに必要な弁護士費用を理解するための基礎知識、弁護士費用を支払ってでも立ち退きを依頼するメリット・デメリット、費用対効果の高い弁護士の選び方を解説しました。
これまでに多くの案件を解決した実績を持つ弁護士事務所に依頼をすることで、立ち退き問題について弁護士はスムーズに解決できます。不動産の立ち退きに関して、悩みや相談したいことがある場合はぜひ弁護士事務所に行かれることをおすすめします。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。