トレントを利用して損害賠償?相場なども専門弁護士が徹底解説!

最終更新日: 2022年06月01日

トレントを利用して損害賠償?相場なども専門弁護士が徹底解説!

  • 意見照会書が届いたが、損害賠償を請求されるの?
  • 損害賠償の金額はどれくらいになるの?
  • 請求された損害賠償は減額することはできるの?

近時、トレント(BitTorrent)を利用して映像作品、漫画やアニメなどをダウンロードしたところ、著作権者から法的措置をとられるケースが増えています。当事務所にも、プロバイダから意見照会書が届いたがどうすれば良いのかというご相談は多くあります。

ほとんどのトレントの利用者は、ただアダルト動画や漫画・アニメを楽しんでいただけであって、悪意をもって著作権を侵害するつもりはありません。しかし、トレントの仕組み上、ダウンロードをすると自動的にアップロードもしてしまい、著作権を侵害しているのです。

今回は、トレントを利用して著作権者から法的措置をとられた場合の損害賠償請求やその金額について専門弁護士が徹底解説します。

この記事を監修したのは

春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
愛知県弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

トレントで損害賠償を請求されるのはなぜ?

著作権者には作品をインターネットなどで公衆に送信する権利、公衆送信権(送信可能化権)があります(著作権法23条)。このような著作権者の権利を違法に侵害せずに公衆に作品を送信するためには、著作権者の許可を得ることが要件となります。

ファイル共有ソフトのトレントは、作品をダウンロードすると、自身も作品のデータを送信する(アップロード)する主体になってしまいます。そのため、トレントを利用して著作権で保護された作品をダウンロードすると、同時に著作物を違法に公衆に送信してしまうのです。

このように著作権を侵害されますと、著作権者は著作物を利用して本来得られた利益を失う損害を被りますので、著作権者は、トレントを利用して著作権を侵害した人に対して損害賠償請求を行うのです。

(公衆送信権等)
第二十三条 著作権者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。
2 著作権者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。

トレントで損害賠償請求される流れ

権利侵害者に対して損害賠償請求をするためには、著作権者は、まずは誰が権利侵害をしたのか特定する必要があります。

P2P通信を利用するトレントでは、アップロードした人を特定することは容易ではありませんでしたが、現在は、技術進歩や法整備によって比較的容易に権利侵害者の特定が可能となりました。

以下その方法を見て行きましょう。

  • IPアドレスの調査
  • 発信者情報開示請求・意見照会書
  • 意見照会書が届く
  • 損害賠償請求

IPアドレスの調査

P2Pネットワークの監視システムがあります(例えば、「P2PFINDER」)。これを利用すれば、トレントでの著作権侵害を検知し、違法にアップロードする際に使用されたIPアドレスを特定することができます。

しかし、このIPアドレスだけでは権利侵害者の氏名や住所がわかりません。

そこで、IPアドレスを特定した後は、著作権者は、インターネットサービスプロバイダ(OCNやニフティなど)に対して当該IPアドレスを割り当てた契約者の氏名や住所などの開示を求めます。これを発信者情報開示請求といいます。

発信者情報開示請求・意見照会書

著作権者は、プロバイダに対して発信者情報開示請求(プロバイダ責任制限法第4条1項)を行い、著作権侵害に係るIPアドレスを割り当てられた契約者情報の開示を求めます。

プロバイダはこのような発信者情報開示請求があると、請求者に対して開示をしても構わないかどうか契約者に意見を確認する必要があります(プロバイダ責任制限法第4条2項)。

意見照会書が届く

契約者のもとにプロバイダから「発信者情報開示請求に係る意見照会書」が届きます。これは氏名や住所などの情報を請求者に対して開示することに同意するか同意しないかを尋ねる書面です。

仮にこの意見照会書に対して同意しないと回答したとしても、著作権者が訴訟を起こせば、裁判所は発信者情報の開示を認める可能性が高いです。

もちろん、権利侵害が事実無根である場合には法的主張をもって意見照会書に回答する必要があります。他方、権利侵害の事実が確かにあるのであれば、誠意ある回答をして、穏便に著作権者との和解交渉を進めるのが得策です。

無視をすれば良いというネット情報を見て無視をしたという方がしばしばおられます。

しかし、無視をしますと権利侵害が事実であった場合に和解交渉が難航しますし、その後、訴訟提起されればその弁護士費用全額の賠償を命じられる、刑事告訴されるというリスクがあります。よって、無視することは得策ではありません。

損害賠償請求

著作権者と和解交渉をしたものの、和解金額について折り合いがつかなかった場合には、著作権者は損害賠償請求をする訴訟を起こしてきます。

中には、当初から一切の和解交渉を拒否して訴訟提起をしてくる著作権者や、刑事罰を与えるために刑事告訴という強行な措置をとる著作権者もいます。

損害賠償請求訴訟になりますと、著作権侵害の損害にとどまらず、発信者を特定するために要した調査費用、弁護士費用も加算して請求されますので、損害賠償の金額は一層大きくなってしまいます。

トレントを利用した場合の損害賠償の相場

次に、トレントを利用して著作権者から損害賠償請求をされた場合に、権利侵害者が支払うことになる損害賠償の金額について見て行きましょう。

著作権侵害による損害賠償金額については著作権法114条1項に定められています。

これによれば、トレントを利用した著作権侵害の損害賠償金額は、販売利益×ダウンロード回数という計算式によって算定されます。人気作品の方がダウンロード回数は増えますので、その分、損害賠償金額は大きくなり、数百万円、数千万円を請求されることもあります。

もっとも、請求された金額を必ず支払わなければならないということではありません。著作権者側には誠意をもって対応し、自身の経済力も踏まえ支払可能な金額にまで譲歩してもらえるよう和解交渉を行います。

著作権者、作品、侵害内容にもよりますが、20万円ほどから100万円ほどで和解が可能なケースも多くあり、専門の弁護士には概ねの和解金の相場がわかっています。

トレントで損害賠償を求められ示談した事例

次に、トレントを利用して損害賠償を求められ、示談をした事例について見て行きましょう。

トレントで楽曲をダウンロードした事例

A様はトレントで楽曲を違法にアップロードしたことで起訴され、罰金刑の刑事罰を受けました。その後、著作権者から損害賠償の請求を受けたため、当事務所に依頼をしました。

A様は数百曲のアップロードをしており、損害額は多額になる可能性がありましたが、著作権者と真摯に示談交渉をした結果、50万円以下の示談金にて示談に応じてもらえました。

このように刑事責任と民事責任は別個のため、著作権者と示談交渉する際は両方について解決する必要があります。

トレントでアダルトビデオをダウンロードした事例

B様はアダルトビデオをトレントでダウンロードしていたところ、プロバイダから発信者情報開示請求に係る意見照会書が送られてきたことから、当事務所に依頼をしました。

ところが、依頼後も同じ著作権者の請求に係る10通以上の意見照会書が届きました。

多くの著作権侵害を犯しているため高額な賠償金額になることを懸念しましたが、損害について慎重に検討した結果、損害額は数十万円程度が妥当と判断されました。

その検討結果を踏まえて著作権者と示談交渉をした結果、全ての著作権侵害について包括的に100万円以下の示談金で示談に応じてもらえました。

トレントでアニメや漫画作品をダウンロードした事例

C様は、トレントで多数のアニメや漫画作品をアップロードしていたところ、プロバイダから発信者情報開示請求に係る意見照会書が送られてきたので、当事務所に依頼をしました。

多数の著作権侵害をしていたことから1000万円以上の損害賠償を請求されました。当該著作権者は、刑事告訴も辞さない著作権者だったことから早期に示談を成立させ、刑事事件化を回避する必要がありました。

当初、著作権者は示談に難色を示していましたが、最終的には100万円以下の金額で示談に応じてもらえました。

トレントの損害賠償に関する裁判例

最後に、トレントを利用した著作権侵害の損害賠償金額について判断した知財高裁令和4年4月20日判決(令和3年(ネ)10074号)を見ておきましょう。

本訴訟で著作権者は、ダウンロード回数×販売価格という計算式をもとに、1億円を超える損害賠償を主張していました。

しかし、裁判所は、上記計算式のダウンロード回数については、ダウンロードした日からトレントの利用を停止した日(プロバイダから意見照会を受けた日)までの期間にダウンロードされた回数、販売価格についてはDVDやBlu-rayではなく、ダウンロード又はストリーミング形式の販売価格で損害額を計算しました。

その結果、損害賠償金額はわずか数万円という判断がなされました。このように損害を厳密に判断すると大幅に損害賠償金額が減額されるケースもあります。

まとめ

以上、トレントを利用して著作権者から法的措置をとられた場合の損害賠償請求やその金額について解説しました。

訴訟をされた場合には賠償金額が大きくなりますし、刑事告訴をされる恐れもありますので、早期に解決したいところです。そのためには、プロバイダから発信者情報開示請求に係る意見照会書が届いたタイミングで直ぐに弁護士に相談することが重要です。

意見照会書の回答期限は1週間から2週間ほどですから、一日でも早く、当事務所の専門弁護士に無料でご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。ご不明な点があるときやもっと詳しく知りたいときは、下にあるLINEの友達追加ボタンを押していただき、メッセージをお送りください。弁護士が無料でご相談をお受けします。

この記事を監修したのは

春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
愛知県弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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