窃盗罪の刑罰とは?逮捕後の流れと前科をつけないための対処法

最終更新日: 2026年06月15日

窃盗罪の刑罰とは?逮捕後の流れと前科をつけないための対処法

窃盗罪の法定刑は10年以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金です(刑法235条)。万引きのような比較的軽微なケースから、空き巣や常習的な犯行まで幅広く対象になり、有罪が確定すれば前科がつきます。

一方で、被害者との示談が成立すれば不起訴となり、前科を回避できる可能性があります。

本記事では、窃盗罪の定義・成立要件から、刑罰、逮捕された後の流れ、そして前科をつけないための具体的な対応までを、弁護士がわかりやすく解説します。

この記事のポイント

  • 窃盗罪の法定刑は10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金。常習の場合はさらに重くなる。
  • 逮捕されると最長で23日間の身柄拘束があり得る。最初の72時間の対応が極めて重要。
  • 前科を避ける最大の鍵は被害者との示談。起訴される前に進めることが重要。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士 春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内法律事務所勤務
当事務所開設
資格
宅地建物取引士
情報処理安全確保支援士

「家族が逮捕された」「示談したい」など、300件以上の刑事事件のご相談に対応してきました。(※2026年3月時点)これまでの実務経験をもとに、法律のポイントを分かりやすく解説しています。

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窃盗罪とは?成立要件と「うっかり」も含まれるケース

窃盗罪は、他人の財物を、その占有者の意思に反して自分の支配下に移すこと(窃取)で成立する犯罪です(刑法235条)。

日常的には「盗み」と呼ばれる行為全般がこれにあたります。成立には、次の3つの要件をすべて満たす必要があります。

 他人の財物であること

他人が所有または管理している物が対象です。形のある動産だけでなく、電気も「財物」とみなされます(刑法245条)。他人と共有している物や、一時的に他人が預かり管理している物も「他人の財物」にあたり得ます。

金銭的価値の有無は必ずしも問われず、所有者にとって意味のある物であれば対象になり得ます。

窃取したこと

占有者(持ち主や管理者)の意思に反して、その財物を自分や第三者の支配下に移すことを「窃取」といいます。たとえば店舗の商品は、会計を済ませるまで店側が管理しており、代金を支払わずに持ち去れば窃取にあたります。

財物の占有が移った時点で既遂となるため、店外に持ち出していなくても、商品をかばんに入れてレジを通過するなどの事情があれば成立する場合があります。

なお、窃盗は未遂も処罰の対象です(刑法243条)。

不法領得の意思

窃盗罪の成立には「不法領得の意思」、すなわち権利者を排除して、他人の物を自分の物として経済的に利用・処分する意思が必要です。

そのため、一時的に借りてすぐ返すつもりの「使用窃盗」は、原則として窃盗罪にあたらないと考えられています(ただし自動車など財産的価値の高い物を無断で使用した場合は窃盗とされ得ます)。

また、利用するのではなく壊す・隠すことだけが目的であれば不法領得の意思がなく、窃盗罪ではなく器物損壊罪などが問題になります。

このように、窃盗罪は「出来心」「うっかり」であっても、自分の物にする意思があれば成立します。代金を払い忘れて店を出てしまったようなケースでも、状況によっては疑われることがあり、「故意がなかった」ことをどう説明するかが重要になります。

窃盗の主な類型

窃盗は、手口によって大きく次のように分けられます。

  • 侵入窃盗
    空き巣、忍込み、事務所荒らしなど、建物に侵入して行う窃盗。住居侵入罪などが併せて成立し、量刑も重くなりやすい。
  • 非侵入窃盗
    万引き、置き引き、ひったくりなど、侵入を伴わない窃盗。ただしひったくりで暴行を加えると強盗に問われることがあります。
  • 乗り物盗
    自転車盗、オートバイ盗、自動車盗など。

家族間の窃盗(親族相盗例)

配偶者・直系血族・同居の親族との間の窃盗には親族相盗例(刑法244条)が適用され、刑が免除されたり、告訴がなければ起訴できないとされる場合があります。ただし、同居していない親族や第三者が関わる場合には適用されません。

なお、落とし物や置き忘れの品を持ち去った場合は、窃盗罪ではなく横領罪や占有離脱物横領罪が問題になり、どの罪にあたるかで刑罰が大きく変わります。

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窃盗罪の刑罰|量刑はどう決まる?

窃盗罪の法定刑は10年以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金です。この範囲の中で、実際にどのような処分になるかは、事案ごとの事情を総合して判断されます。

量刑を左右する主な要素

  • 被害額
    金額が大きいほど重く評価されます。
  • 手口・計画性
    道具を用いた計画的な犯行や、侵入を伴う窃盗は重く見られます。
  • 前科・前歴
    過去の同種前科があると処分が重くなります。
  • 被害弁償・示談の有無
    被害が回復され、示談が成立していれば有利な事情になります。
  • 反省・再発防止
    反省の態度や、再発防止に向けた具体的な取り組みも考慮されます。

初犯・軽微なケースの扱い

初犯で被害が軽微、かつ示談が成立していれば、不起訴や罰金で終わるケースもあります。被害が極めて軽微な場合には、警察限りで手続きが終了する微罪処分となることもあります

。もっとも、これらは自動的に得られるものではなく、被害弁償や反省などの事情が前提となります。

執行猶予の可能性

起訴され有罪となっても、3年以下の拘禁刑などの場合には、情状により執行猶予(1年〜5年)が付くことがあります。執行猶予の期間を無事に経過すれば、刑の言渡しは効力を失います。

ただし、再犯や常習性がある場合には実刑(執行猶予のつかない拘禁刑)となる可能性が高まります。

常習累犯窃盗は刑が大幅に重くなる

過去10年以内に窃盗などで一定回数以上の拘禁刑(懲役)を受けた人が、常習として再び窃盗を行うと、常習累犯窃盗(盗犯等防止法)として「3年以上の有期拘禁刑」と、通常の窃盗罪よりも刑が大幅に重くなります。

窃盗・万引きを繰り返している場合は、特に早期の対応が必要です。

罰金でも「前科」はつく

「罰金なら前科にならない」と誤解されがちですが、罰金も刑罰であり、有罪である以上は前科になります。

なお、前科(有罪判決を受けた事実)と前歴(捜査の対象となった事実)は別の概念です。前科を避けるには、起訴される前に不起訴を目指すことが重要です。

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窃盗罪で逮捕された後の流れ【最初の72時間が重要】

窃盗事件では、その場で取り押さえられる現行犯逮捕のほか、防犯カメラの映像や目撃情報から特定されて後日逮捕されることもあります。逃亡や証拠隠滅のおそれが低ければ、逮捕されず在宅のまま捜査が進むこともあります。

逮捕から勾留までの流れ

逮捕されると、身柄拘束には法律で期限が定められています。

  • 逮捕~72時間
    警察に最大48時間留置された後、検察官へ送致され、検察官は24時間以内に勾留を請求するかどうかを判断します。
    この最初の72時間で弁護士が動けるかが、その後の身柄拘束や処分を大きく左右します。
  • 勾留
    勾留が認められると、原則10日間、延長でさらに最大10日間、身柄拘束が続きます。逮捕から数えると最大で23日間に及ぶ可能性があり、その間は会社や学校を休まざるを得ません。

弁護士は、勾留を回避・短縮するための意見書の提出や、準抗告などの手続きを行い、早期の身柄解放を目指します。

身柄拘束が長引くほど、生活への影響が大きくなるためです。

起訴・不起訴の判断

勾留期間が満了するまでに、検察官が起訴するか不起訴とするかを決めます。不起訴になれば前科はつきません。

起訴される場合は、書面審理で罰金が言い渡される「略式起訴」と、公開の法廷で審理される「公判請求」があります。窃盗罪では、示談の成立などにより不起訴を獲得できるかが大きな分かれ目になります。

未成年(少年)の場合

20歳未満の少年が窃盗事件を起こした場合は、成人とは異なり、原則として全件が家庭裁判所に送られ、少年審判を経て保護処分などが判断されます。

少年事件では、環境調整や再発防止に向けた取り組みが重視されます。

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前科をつけないために最も重要な「示談」

窃盗事件では、被害者との示談が成立しているかどうかが処分を大きく左右します。

示談とは、被害弁償や謝罪を通じて被害者との間で民事的な解決を図る手続きで、刑事処分にも大きく影響します。

被害が回復され、被害者が許す意思(宥恕)を示し、被害届や告訴の取下げが得られれば、不起訴となる可能性が高まります。

示談がもたらす効果

示談が成立すると、検察官は「被害が回復し、当事者間で解決済み」と評価しやすくなり、不起訴や、起訴されても軽い処分につながりやすくなります。

とくに初犯の窃盗事件では、示談の成否が結論を分けることが少なくありません。

示談金の相場と内訳

示談金は、被害額の弁償に謝罪金(迷惑料)を加えた額が基本です。

万引きなど被害が小さいケースでは数万円〜十数万円程度が目安になることが多い一方、被害額が大きい場合や被害者の処罰感情が強い場合には、これより高額になることもあります。

適正な金額は事案によって異なるため、弁護士に確認することをおすすめします。

被害者が示談に応じない・特定できない場合

被害者が示談に応じてくれない場合や、被害者を特定できない場合でも、反省を示す方法はあります。

たとえば、贖罪寄付(しょくざいきふ)を行うことで、反省と再発防止の姿勢を示し、有利な情状として考慮されることがあります。

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示談を成立させ、不起訴を目指すための3つのポイント

被害者との交渉は弁護士を介して行う

加害者本人やその家族が直接連絡すると、被害者の感情を害して交渉が難航しがちです。とくに被害者が店舗や面識のない相手の場合、そもそも連絡先を入手することが容易ではありません。

捜査機関は、加害者側に弁護士がついている場合に限って被害者の連絡先を伝えてくれることがあり、弁護士が窓口となることで、冷静かつ適切な条件で示談を進められます。

できるだけ早く着手する

示談は、起訴される前に成立させることが重要です。勾留期間という限られた時間の中で、早く動くほど不起訴の可能性が高まります。

逮捕直後・呼び出し直後といった早い段階での相談が、結果を大きく変えます。

取調べに適切に対応する

取調べでの供述は、その後の処分に大きく影響します。

一度署名・押印した供述調書は、後から内容を覆すことが難しいため、事実と異なる場合や納得できない場合に安易に署名しないことが大切です。

供述を拒む黙秘権も認められています。どのように対応すべきかは、できるだけ早い段階で弁護士に相談してください。

ケース別の窃盗事件の対応

窃盗事件は、誰が・どのような状況で起こしたかによって、対応のポイントが変わります。あてはまるケースは各記事をご覧ください。

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窃盗罪に関するよくある質問

Q. 初犯でも前科はつきますか?

A. 初犯でも、起訴されて有罪になれば前科がつきます(罰金でも前科です)。ただし、初犯で被害が軽微・示談成立といった事情があれば、不起訴となり前科を回避できる可能性があります。

Q. 被害額を弁償すれば事件にならないのですか?

A. 弁償は重要ですが、それだけで必ず不起訴になるわけではありません。謝罪や宥恕を含む示談として成立させ、起訴される前に行うことが大切です。

Q. 家族の物を持ち出した場合も窃盗罪になりますか?

A. 配偶者・直系血族・同居の親族との間では「親族相盗例」(刑法244条)により、刑が免除されたり、告訴がなければ起訴できないとされる場合があります。ただし、同居していない親族や第三者が関わる場合は適用されません。

Q. 後日、警察から連絡が来ることはありますか?

A. あります。防犯カメラの映像や目撃情報などから特定され、後日呼び出し・後日逮捕となるケースがあります。連絡が来た段階で早めにご相談ください。

Q. 窃盗を繰り返してしまいます。どうすればよいですか?

A. 窃盗を繰り返す背景に、クレプトマニア(窃盗症)という疾患があることもあります。常習累犯窃盗として刑が重くなる前に、刑事弁護と再発防止(治療)の両面から早めに相談することが重要です。

まとめ|窃盗罪で前科をつけないために

窃盗罪は身近に起こり得る犯罪ですが、有罪になれば罰金でも前科がつきます。

前科や実刑を避けるために最も重要なのは、起訴される前に、被害者との示談を含む対応を早く始めることです。

とくに逮捕直後の72時間や、検察庁からの呼び出しを受けた段階での初動が結果を左右します。逮捕された、警察から連絡が来た、家族が逮捕されたという段階で、できるだけ早く弁護士にご相談ください。

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