著作権侵害で前科を防ぐために知っておきたい条件と具体的対策を徹底解説!
最終更新日: 2025年02月01日
- 他人(他社)の著作権を侵害し逮捕されそうだ。前科が付いてしまうかもしれない。
- 著作権侵害で前科が付けば、どのような影響が出るのだろう?とても気になる。
- 著作権侵害で前科が付くのは嫌だ!相談できる専門家はいないのだろうか?
著作権侵害で逮捕された場合、起訴され、刑事裁判で有罪判決を言い渡されれば、著作権侵害をした人(被告人)に前科が付いてしまいます。
前科が付いてしまうと仕事を失い、社会復帰が難しくなる他、家族にも深刻な影響が出るでしょう。
そこで今回は、著作権問題の解決に携わってきた専門弁護士が、著作権侵害で有罪となった場合にどのような前科が付いてしまうのか、前科を回避する方法等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 著作権侵害で有罪となれば懲役刑(2025年6月1日以降は拘禁刑)、罰金刑の前科が付く
- 前科が付くと著作権侵害をした本人、家族に深刻な影響を及ぼす
- 弁護士にサポートを依頼すれば、前科が付かないように全力を尽くす
著作権侵害で付く可能性がある前科
刑事裁判で著作権侵害の有罪判決を言い渡されてしまうと、著作権侵害をした本人(被告人)は、重いペナルティを受ける場合があります(著作権法第119条第1項)。
懲役(2025年6月1日以降は拘禁刑)の判決を受けたときは、10年を超えない期間、刑事施設に収容されてしまいます。
初犯で3年以下の懲役(拘禁刑)にとどまる場合は執行猶予付き判決を得られる可能性がありますが、やはり前科は付くので注意が必要です。
罰金刑の判決を受けたときは、1,000万円以下の罰金を支払わなければなりません。罰金刑でも前科は付いてしまいます。
最悪の場合は10年の懲役(拘禁刑)を受け、1,000万円の罰金の支払いを命じられるおそれもあるでしょう。
著作権侵害で法人の代表者等が有罪判決を受ければ、両罰規定により、法人は3億円以下の罰金刑に処されます(著作権法第124条)。
著作権侵害で前科が付く可能性がある条件
まず著作権侵害にあたるかどうかは、侵害したとされるものが著作物として認められるか、保護期間内のものか、依拠性があるか、同一性または類似性があるかによって判断されます。
著作物として認められる
無断で使用したものが「著作物」の場合、権利侵害で有罪判決を受け、前科が付く可能性があります。
この場合の著作物は、作者の手による創作物であり、作者の個性が表現されているものです。
具体的には、創作した小説や論文、漫画、映画、写真、楽曲、ゲームソフト、プログラム等が著作物に該当します。
個性を感じないありふれた表現(単に近所や駅構内を撮っただけの写真等)の場合は、著作物とはいえません。
著作権の保護期間内である
無断で使用した著作物が著作権の保護期間内であった場合、著作権侵害で前科が付いてしまう可能性があります。
著作権の保護期間は、著作権者が原則として死亡や公表、創作した年の翌年1月1日から70年間に及びます。
非常に長期間保護されるため、かなり前の著作物の無断使用や模倣以外は、保護期間内にあてはまる可能性が高いでしょう。
依拠性がある
すでに発表された著作物を利用して創作を行った場合、著作権侵害に該当し前科が付いてしまう可能性もあります。
著作権侵害か否かを判断するとき、すでに発表された著作物と、実質的に同じものであると認められるか否かで、依拠性の有無が判断されます。
たとえば、自分が独自に小説を創作して、たまたま他人の小説とストーリー展開が似ていても、それだけでは著作権侵害とは認められません。
同一性または類似性がある
すでに発表された著作物と自分が創作したものが、内容が同一または類似していると認められるときは、著作権侵害で前科が付いてしまうかもしれません。
創作した内容すべてが酷似してはいなくても、同一性や類似性が認められる部分が目立ち、自分で創作したと主張するものが既存の著作物を模倣したと解される場合は、この条件に該当します。
著作権侵害で前科が付いた場合のデメリット
著作権侵害で有罪判決を受けた場合、刑に服するだけでなく、その後も前科が付いた本人に様々な影響を及ぼすでしょう。
前科が付いてしまうと、本人だけではなく家族の社会的な信用も大きく低下する可能性があります。
周りにバレる
著作権侵害で前科が付いたという事実を、周囲に気付かれてしまうおそれがあるでしょう。
ネット上での著作物の無断転載・配信等は社会問題化しており、世間の関心が高い事件といえます。著作権を侵害した人物は、メディアによって実名で公表されてしまう可能性が高いです。
逮捕の段階で友人・知人は離れていき、近所の人からは不信の目でみられるでしょう。
有罪となり前科が付いた場合は、周囲の非難が一層厳しくなり、別の地域に引越しを余儀なくされてしまう場合もあり得ます。
職を失う
前科が付いたため現在の仕事を失い、経済的に困窮するリスクがあります。
著作権侵害で逮捕された事実は、マスコミの報道等を通して勤務している会社にも知られてしまう可能性が高いです。
逮捕された段階では起訴されるか・不起訴になるかはわかりませんが、逮捕後に著作権侵害の事実を認めた場合、会社側は懲戒処分を下す場合があります。
逮捕された本人が著作権侵害で有罪となり、前科が付いた場合は、懲戒解雇を受けてしまう可能性が非常に高いです。
社会的評価が下がる
前科が付いてしまうと、本人の社会的な評価は大きく下がってしまい、社会復帰が難しくなる場合もあります。
会社側が従業員を採用するとき、就職希望者に次のような確認を行うケースがあります。
- 履歴書の賞罰欄に前科の記載があり、前科の有無の明記を求める
- 面接において前科の有無を確認する
採用するかどうかを決める場合、前科の有無が考慮される可能性は高いです。
たとえ前科を隠して採用されたとしても、採用後、発覚した場合は解雇されたり、経歴詐称を理由に何らかの不利益を被ったりする事態も想定されます。
家族への影響
前科が付いてしまうと、家族にも影響が出てしまう可能性があります。
家族が周辺の居住者から好奇の目でみられる、就学中の子どもが学校でいじめにあう、仕事をしている親や兄弟たちが仕事場に居辛くなるなどの事態が起こるかもしれません。
また、信用が重視される金融機関や警察等に就職を希望する場合、身辺調査で前科がある家族がいるとわかれば、不利になると言われています。
著作権侵害で前科が付きそうなときにすべきこと
著作権侵害を自覚しており、「有罪となって前科が付いてしまうかもしれない」と思っているときは、速やかに弁護士と相談しましょう。
弁護士に早めに相談すれば、著作権侵害で逮捕される前に、問題を解決できる可能性があります。
弁護士への相談
前科が付かないための対策を講じたいのであれば、弁護士と相談し、冷静に協議しましょう。
弁護士は著作権侵害の内容をチェックし、次のような有益なアドバイスを行います。
- 相談者が受ける可能性がある罰
- 逮捕された場合、刑事手続きはどのように進められていくのか
- 前科が付かいないために必要な対応策
- 示談を成立させる有効性
- 著作権者と示談を進めるときのポイント
逮捕されるリスクがある以上、弁護士に相談するだけでなく、私選弁護人になるよう依頼する必要があります。
弁護士が私選弁護人となれば、次のような弁護活動が可能です。
- 著作権者に対して:示談交渉を申し入れ、和解による解決を目指す
- 捜査機関に対して:依頼者が逮捕された場合は早期釈放、在宅捜査となるように要請
- 裁判所に対して:依頼者が起訴され刑事裁判が開かれても、依頼者の立場に立ち、最後まで無罪判決や減刑を得るために尽力する
証拠収集
故意に(わざと)著作権を侵害したのでなければ、著作権者や捜査機関に反論するための証拠を集めましょう。
著作権侵害を疑われている人の中には、著作権を侵害したことを全く知らなかった、過失(不注意)により結果として著作権を侵害した形となってしまった、というケースもあります。
著作権者と著作物に関する契約を締結後、トラブルとなってしまったときは、作成した契約書や、著作権の話し合いをしている音声・メールのやり取り等を著作権者や捜査機関に提示しましょう。
故意に(わざと)侵害したわけではないと証明できれば、刑事責任を追及されずに済み、前科が付く事態を回避できます。
なお、過失(不注意)により著作権者へ損害を与えた場合は、民事責任(損害賠償請求)を受ける可能性は残ります。
示談交渉
著作権侵害は基本的に親告罪です。そのため著作権者が刑事告訴する前に、示談が成立すれば告訴されずに済みます。
たとえ刑事告訴され逮捕された後でも、刑事手続きを進めている途中で示談が成立して著作権者が告訴を取下げれば、検察官は不起訴処分にします。
そのため、検察官が起訴・不起訴を決める前に、示談を成立させれば、最小限の負担で問題を解決できるでしょう。
すでに弁護士を私選弁護人としている場合は、示談交渉の委任も可能です。
弁護士は著作権者と冷静に交渉し、次のように示談の条件を取り決めていきます。
- 著作権を侵害したものが深く反省して著作権者に謝罪し、二度と著作権を侵害しないと誓う
- 示談金額、支払方法、支払期限の合意
- 著作権侵害にあたる画像や動画の削除、出版物の停止や廃棄を行う等
- 示談成立後は当事者間で問題を蒸し返さない旨
- 約束に違反した場合の法的措置
- 告訴していた場合は取下げる旨(処罰を望まない旨の条項も明記) 等
示談が成立したときは、弁護士は示談書(合意書)を2通作成します。示談書は当事者が1通ずつ大切に保管しておきましょう。
著作権侵害で前科を付けたくないときは弁護士に相談を
今回は著作権問題の解決に尽力してきた専門弁護士が、著作権侵害で前科が付いた場合のデメリットや、前科が付かないための対応方法等について詳しく解説しました。
前科が付いてしまうと、様々な不利益を被ります。
著作権に関するトラブルが発生したときは、速やかに弁護士と相談し、今後の対応を協議しましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。